システム開発は企画から始まり、要件定義をしますがこれらの活動は超上流工程と呼ばれています。
ここではIPAから公開されている資料や共通フレームの情報を参考に説明をします。
企画
企画は共通フレーム2013では下の2つのプロセスがあります。
1.システム化構想の立案
2.システム化計画
システム化構想の立案
(1)経営要求、課題の確認
経営課題を解決するための業務課題とシステムの構成を⽴案
(2)事業環境、業務環境の調査分析
市場や競合を調査分析
(3)現行業務、システムの調査分析
(4)情報技術動向の調査分析
(5)対象となる業務の明確化
(6)業務の新全体像の作成
業務機能と業務組織を表現したフローを作成
(7)対象の選定と投資目標の策定
(8)システム化構想の文書化と承認
(9)システム化推進体制の確立
システム化計画
(1)システム化計画の立案
(2)対象業務の内容の確認
(3)対象システムの分析
(4)業務モデルの作成
(5)付帯機能、付帯設備に対する基本方針の明確化
(6)サービスレベルと品質に対する基本方針の明確化
(7)プロジェクトの目標設定
(8)全体開発スケジュールの作成
(9)費用とシステム投資効果の予測
(10)経営管理計画、情報戦略及びシステム化構想との検証
(11)システム化計画の承認
(12)プロジェクト計画の文書化と承認
(13)システム化計画の基本要件の確認
(14)対象業務のシステム課題の定義
(15)適用情報技術の調査
(16)システム化機能の整理と方式の策定
(17)実現可能性の検討
(18)システム達成方針の策定
(19)プロジェクト推進体制の策定
要件定義
要件定義では企画プロセスの内容をインプットして、要件を整理します。
要件定義の目的
要件定義は、クライアント(ユーザ)の要望に対して、どのように実現するのかを決めることです。
システム開発のスタート時点では、何もかもがぼんやりしていることが多いです。
要件定義でシステムやプロジェクトの目的、範囲、機能、性能などを明確にし、関係者間で共通の理解を持つことです。

要件定義のゴール
要件定義フェーズでは、次のことが満たされ、次工程である設計に進むことができる状態になれば、ゴールにたどり着いたと言えます。
- 必要な機能(非機能も含む)が明確になっている。
- 関係者全員(ステークホルダー)との合意を得ている。
要件定義の進め方
要件定義の進め方は、会社ごとに違ったり、何を開発するかによって異なるので、決まった手順というのがありません。
ここではIPAから出ている要件定義の進め方や共通フレームを参考に紹介します。
ステークホルダーの把握
ステークホルダー(開発するシステムに関わる人)を把握します。
本作業の目的は、要件定義をするにあたり、ヒアリング先、要件定義書などのレビュー先を把握するためです。
ステークホルダーは、システムに影響を与える他の部署、さらにシステムを使用する外部の顧客や関係者も含まれます。

ステークホルダとの課題抽出や合意形成などを効率的に実施していくために、担当者レベルまで整理した、ステークホルダー一覧の作成も必要です。

システムコンテキストモデル
システムコンテキストモデルは、システムの目的、ステークホルダー、システムの外部との関係を可視化するモデルです。
システムがどのような環境で機能するのかが一目で理解できるため、後の要件定義や設計、テストに役立つので、作成しておいたほうが良いです。

※本モデルは、神崎 善司さんが考案した要件定義手法です。
ビジネス要件定義
ビジネス要件定義は現状把握からスタートします。
今、何が問題になっていて、どうあるべきなのかを整理します。
さらにそこから要求内容・目標レベルにします。
- 問題(ニーズ)の抽出
経営層や業務担当者から、現在の業務で問題になっている点やニーズをヒアリング - 問題(ニーズ)から課題を抽出
問題(ニーズ)をもとに、何をすべきかを導く - 目的(要求)と目標を導く
「~したい」と具体的な数値を導く

ヒアリングで集めた意見はリッチピクチャというモデルで整理して、関連や対立意見が見えるようにすると、今後のシステム開発のヒントになります。
ビジネス要件定義:リッチピクチャによる整理

ヒアリングした結果や既存の資料などを用いてフロー図を作成します。
ビジネス要件定義:現状整理

フロー図と要求が明確になったら、あるべき姿(To-Be)の業務フロー図を作成します。
ビジネス要件定義:業務フロー(As-Is)の作成
現在の業務の内容を業務フローとして作成します。
もともと業務フローの資料がある場合もありますが、無い場合は業務担当者からヒアリングしながら作成します。
業務内容をヒアリングしていると、現在の課題やシステム化したい点などの要望が発言される場合もあるので、業務フロー作成時にメモとして残すのが良いです。

ビジネス要件定義:要求や課題を整理
現在の業務内容を業務フローにして、課題を洗い出します。

問題や課題は業務フローとは別に下のように課題は表形式にします。
そして、問題や課題から要件を導きます。
ビジネス要件定義:条件による業務整理は「業務処理定義書」を作成
条件によって業務内容が違う場合には業務処理定義書を作成して整理しておくと良いです。
業務フローを作成する際、条件が複雑で書ききれない場合にも有効です。


システム要件定義
システム要件定義:システム化する業務の一覧(機能一覧)
要件に対する必要機能を一覧にします。

システム要件定義:データの概念モデル
エンティティを洗い出し、エンティティ間の関係を表現します。

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